第67回:寄生虫学会 原生生物学・共生生物学談話会コラボセミナー(オンライン・ハイブリッドセミナー)
3月17日(月)
|大阪大学コンベンションセンターC会場(2F) &Zoomによるハイブリッド開催
東北大学大学院農学研究科 助教 福田 康弘 博士 「繊毛虫テトラヒメナの有性生殖における Snf2 の機能」 福井県立大学海洋生物資源学科 教授 佐藤 晋也 博士 「外来種ミズワタクチビルケイソウと細菌との関係」
日時・場所
2025年3月17日 15:00 – 17:00
大阪大学コンベンションセンターC会場(2F) &Zoomによるハイブリッド開催, 日本、〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1−1
参加者
イベントについて
繊毛虫テトラヒメナの有性生殖における Snf2 の機能
福田 康弘(東北大学大学院農学研究科)
Snf2 スーパーファミリーは、ATP 依存性クロマチンリモデリング複合体のコアを構成する ATP 加水分解酵素である。ゲノムの複製や修復、遺伝子発現の調節には、クロマチンリモデリングが不可欠である。このため、Snf2 の機能を解明することは、生命現象の分子機構を理解するうえで重要な課題である。我々は繊毛虫テトラヒメナをモデルとして、有性生殖にともなうクロマチンリモデリングに関与する Snf2 の探索と、その機能解析を進めている。本発表では、減数分裂における二価染色体の形成および DNA 切断によって誘発される配偶核ゲノムのユークロマチン化に携わる Snf2 について、他のモデル生物に対するテトラヒメナの特異性や共通性をふまえつつ紹介する。
外来種ミズワタクチビルケイソウと細菌との関係
佐藤 晋也(福井県立大学海洋生物資源学科)
ミズワタクチビルケイソウCymbella janischiiは北米原産の河川付着珪藻で、2006年に九州の筑後川で侵入が確認されて以降、国内で急激に分布を拡大させている。本種は粘着性の多糖を分泌して基質に付着し、時として巨視的な群体を形成して生育することで知られ、こうした群体の繁茂による河川生態系への影響や釣り等レジャーへの悪影響などが問題視されている。本研究室では、本邦河川における本種の分布調査から実験室での培養実験まで各種基礎的研究を進めており、本種の拡大経路の特定や大増殖のメカニズム解明を通じた被害の拡大防止を目指している。本発表では河川のメタバーコーディング解析による珪藻-細菌間の相互作用の可能性について議論し、さらにこの結果にもとづいた培養実験の結果を紹介したい。